DJ機材としてこの約10年で一気に市民権を獲得し、ビギナーモデルからプロフェッショナルモデルまで幅広いラインナップが各社で揃っているDJコントローラー。
2つのデッキ部分とミキサー部分が一体になった構造で、それ一台でDJプレイが完結する手軽さから自宅やちょっとしたパーティースペースで導入するDJ機材として最も一般的で有力な選択肢となっています。
DJコントローラーの中でもDJソフトをインストールしたPCやモバイル端末と接続し使用することが前提になっているモデルと、単体でもDJプレイが可能なスタンドアローンのいわゆるオールインワンDJシステムに大別されます。
今回はDJ機材シェアナンバーワンPioneer DJのプロフェッショナル向けオールインワンDJシステム「XDJ-XZ」と「XDJ-RX3」の違いを比較してみました。
XDJ-XZ vs XDJ-RX3 外観比較
XDJ-XZ
寸法 | 幅878 x 高さ118.4 x 奥行き466.1 (mm) |
重量 | 13 (kg) |
XDJ-RX3
寸法 | 幅728.1 x 高さ118.4 x 奥行き469.5 (mm) |
重量 | 9.3 (kg) |
XDJ-XZとXDJ-RX3の外観については、共にクラブ標準モデルとして普及しているCDJ-3000とDJM-900NXS2のレイアウトがベースとなっており、現場で使用するセットアップとほとんど同じ感覚で操作を行うことが可能です。
サイズに関して、XDJ-XZは4チャンネル、XDJ-RX3は2チャンネルのミキサー部を備えていることからXDJ-XZの方が15cmほど幅が広くなっています。
XDJ-RX3は特徴である10.1インチの大型タッチディスプレイが搭載されており中央部が出っ張ったデザインとなっており、奥行きも出っ張り部分の分やや大きくなっています。
スクリーンサイズ
XDJ-XZ:7インチ
XDJ-RX3:10.1インチ
DJコントローラーに備え付けのタッチディスプレイはXDJ-XZは7インチ(800 x 480)、XDJ-RX3は10.1インチ(1280 x 800)と視認性、操作のしやすさでサイズの大きいXDJ-RX3に軍配が上がります。
ジョグサイズ
XDJ-XZ:206mm
XDJ-RX3:149mm
プラッター部分であるジョグサイズはXDJ-XZは206mm、XDJ-RX3は149mmとXDJ-XZに軍配が上がります。スクラッチなど頻繁にジョグを操作するプレイスタイルであればサイズの大きいXDJ-XZの方が格段に操作性に優れるでしょう。
チャンネル数
XDJ-XZ:4チャンネル
XDJ-RX3:2チャンネル
ミキサーチャンネル数はXDJ-XZは4チャンネルなのに対してXDJ-RX3は2チャンネルとXDJ-XZの方がプロの現場に設置してある業務用ミキサーに近いプロ仕様と言えるでしょう。
対応ソフトウェア
XDJ-XZ:rekordbox & Serato DJ Pro
XDJ-RX3:rekordbox & Serato DJ Pro
対応ソフトウェアに関しては共にrekordbox & Serato DJ Proに両対応。Hardware Unlockで機器とPCを接続すれば無償で双方のDJソフトウェアが利用可能です。
DVS対応の有無
XDJ-XZ:対応✅
XDJ-RX3:非対応❌
PC内のデータ音源をターンテーブルでコントロールしレコードでプレイを行なう感覚と同じ感覚でDJを行うことが出来るDVS(Digital Vinyl System)コントロールはXDJ-XZのみ対応となっています。rekordbox DVS、Serato DVS双方に対応しています。
オールインワンDJコントローラーを導入して尚DVSコントロールを使用するシチュエーションも少ないかもしれませんが、ターンテーブルを両側に置いてXDJ-XZをミキサーとして使用しDVSコントロールを行うことが可能です。
注意点としてXDJ-XZでDVSコントロールを行う場合はrekordboxの場合有償プランであるCoreプラン以上、Seratoの場合Expansionsの拡張ライセンスが必要です。
XDJ-XZ vs XDJ-RX3 スペック比較
XDJ-XZ | XDJ-RX3 | |
---|---|---|
対応音楽ファイルフォーマット | MP3 AAC WAV AIFF FLAC | MP3 AAC WAV AIFF FLAC |
対応ファイルシステム | FAT FAT32 exFAT HFS+ | FAT16 FAT32 exFAT HFS+ |
対応ソフトウェア | Serato DJ Pro rekordbox | rekordbox Serato DJ Pro |
DVS Control | Serato DVS(有償アップグレード) rekordbox (Core plan以上) | – |
付属品 | 電源コード USBケーブル 取り扱い説明書(クイックスタートガイド) 保証書(クイックスタートガイド裏表紙に記載) ソフトウェアのライセンスに関するお知らせ | 電源コード USBケーブル 保証書(一部の地域) クイックスタートガイド 使用上のご注意 ソフトウェアのライセンスに関するお知らせ |
再生周波数帯域 | 20 – 20000 Hz | 20 – 20000 Hz |
幅 | 878 mm | 728.1 mm |
高さ | 118.4 mm | 118.4 mm |
奥行き | 466.1 mm | 469.5 mm |
本体質量 | 13 kg | 9.3 kg |
S/N比 | 111dB (USB) | 111dB (USB) |
チャンネル数 | 4 | 2 |
デッキコントロール | 2 (USBストレージデバイス使用時) / 4 (DJソフトウェアコントロール時) | 2 |
ジョグサイズ | 206 mm | 149 mm |
SOUND COLOR FX | Space Dub Echo Sweep Noise Crush Filter | Space Dub Echo Sweep Noise Crush Filter |
BEAT FX | Delay Echo Filter Flanger Helix Phaser Ping Pong Pitch Slip Roll Spiral Reverb Roll Trans Vinyl Brake | Delay Echo Ping Pong Spiral Reverb Trans Filter Flanger Phaser Pitch Slip Roll Roll Vinyl Brake Helix |
入力端子 | 2 LINE (RCA) 2 PHONO (RCA) 1 AUX (RCA) 2 MIC (XLR & 1/4 inch TRS Jack) | 2 LINE (RCA) 2 PHONO (RCA) 2 MIC (XLR & 1/4 inch TRS Jack) 3.5 mm stereo mini jack x 1 (アンバランス入力) 1 AUX (RCA) |
出力端子 | 2 MASTER (XLR, RCA) 1 BOOTH (1/4 inch TRS Jack) 2 PHONES (1/4-inch stereo jack, 3.5-mm stereo mini-jack) 1 SEND (1/4 inch TRS Jack) | 1 MASTER (XLR) 1 MASTER (RCA) 1 BOOTH (1/4 inch TRS Jack) 1 PHONES (1/4 inch stereo phone Jack) 1 PHONES (3.5-mm stereo mini jack) |
USB | 2 USB A端子 1 USB B端子(USB CONNECTION LINK Exportに対応) | 2 USB A端子 1 USB B端子 |
LAN | 3 (100Base TX) | – |
価格
XDJ-XZ:¥330,000 (税込)
XDJ-RX3:¥275,000 (税込)
まとめ
「XDJ-XZ」と「XDJ-RX3」は共にクラブ常設の標準モデルとして普及しているCDJ-3000とDJM-900NXS2のデザインを踏襲したモデル。
主な違いとしてはチャンネル数、スクリーンサイズ、ジョグサイズなどが挙げられます。
両モデルとも共通スペックも非常に多くメーカー希望小売価格で5.5万円の差が悩ましいところですが、よりクラブ常設機に近い操作感を得たい人はXDJ-XZ、大型スクリーンで快適な操作を行いたい人はXDJ-RX3が選択肢になりそうです。
両モデルともハイエンドのDJコントローラーという位置付けであり、USBを使用したDJ、rekordbox/Serato DJを使用したPCDJと現在の主要なDJスタイルをこれ一台で網羅しまさにオールインワンという名称が最適な汎用性に優れたモデルでどちらを選んでも双方ともに優れたDJシステムであることは間違いありません。
CDJ-3000 x 2台とDJM-900NXS2を揃えると100万円近くの投資となってしまうため、自宅での練習環境をクラブにより近づけたいがクラブと同じモデルは高額すぎて手が出ない人や、小型のDJコントローラーからのステップアップ、カフェ・バーなどクラブ仕様の本格モデルまでは必要無いがある程度本格的なDJブースを設置したい店舗など、あらゆるDJユーザーにおすすめのオールインワンDJシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。