音楽制作・DJ業界において、2026年最大のニュースが飛び込んできました。Native InstrumentsのCEO、ニック・ウィリアムズ氏は、同社がNumark、RANE、Denon DJなど主要DJ機器ブランドをはじめAkai Professional、Moog Musicなど音楽制作ギアブランドなども多数擁する巨大グループ「inMusic」に買収される最終合意に至ったことを公式に発表しました。
NI、iZotope、Plugin AllianceがinMusicグループへ合流
この買収は、単にNI一社にとどまらず、傘下のiZotope、Plugin Alliance、Brainworxを含むグループ全体を対象としたものです。
長年、ベルリンを拠点にソフトウェアの革新をリードしてきたNIが、ハードウェア界の巨人inMusicと手を取り合うことで、音楽テクノロジーのパワーバランスが劇的に塗り替えられることになります。
「愛用ツールは消えない」CEOが語る、ユーザーへの誠実な約束
2026年初頭から報じられていたドイツでの「自己管理型倒産(再編手続き)」のニュースを受け、多くのユーザーが「KontaktやTraktorはどうなるのか?」という不安を抱えていました。ニック・ウィリアムズ氏は今回の声明で、そうした懸念を真っ向から払拭しています。
「私たちが頼りにしてきた製品、プラットフォーム、そしてブランドはすべて継続されます」と彼は断言。
inMusicの傘下に入った後も、NI、iZotope、Plugin Allianceの各チームは独立して開発とサポートを継続します。今回の合意は、法的・財務的な不確実性に終止符を打ち、クリエイターが安心してツールを使い続けられる「持続可能な未来」を確保するための戦略的な決断であったことが強調されています。
Akai、Moog、Denon DJとの強力なシナジー。「ハードとソフトの融合」が加速
今回の統合の予兆は、実は昨年の「MPCキーボードへのNIサウンド搭載(MPC Editions)」や「NKS対応の強化」ですでに示されていました。inMusicは過去30年にわたり、買収したブランド(Numark、Rane、Denon DJ等)を成長させてきた実績を持ちます。
NIが持つ圧倒的なソフトウェア資産(Kontakt, Massive, Ozoneなど)と、inMusicが誇るハードウェアの製造・流通網が完全に統合されることで、次世代のMPCにNIのエンジンが標準搭載されたり、TraktorとDenon DJのハードウェアがより深く連携したりといった、夢のようなシナジーが現実味を帯びてきました。
inMusicのCEOジャック・オドネル氏も、「今日頼りにしているツールは使い続けられ、明日頼りにすることになるツールは現在アクティブに開発中だ」と、革新への意欲を語っています。
「倒産プロセス」からの脱却と、新たな30年へのリスタート
NIはこれまで、過去の投資ファンドによる買収で生じた多額の負債(約2億5000万ポンド)に苦しめられてきました。今回のinMusicによる買収は、この財務的な負債を解消し、エンジニアやデザイナーが再び「製品開発」に100%集中できる環境を取り戻すための、いわば「再生への鍵」です。
創業から約30年。NIは「ソフトウェア音源」という概念を普及させ、ビートメイキングやDJの文化を定義してきました。今回のinMusicへの合流は、一つの時代の終わりではなく、より強力なパートナーと共に歩む、さらに野心的な「第2章」の始まりと言えるでしょう。






