ビートメイキングの定番ギアとして、世界中のプロデューサーに愛され数々の名曲を生み出したきたAkaiのサンプラー「MPC」に、オーディオ分離機能であるステム機能が統合される拡張機能「MPC STEMS」が発表されました。
サンプリング主体のビートメイキングのワークフローに革命をもたらす可能性のあるこの新機能についてご紹介したいと思います。
あらゆるサンプルのボーカル・ドラム・ベース・メロディを分離させるMPC STEMS
MPC Stemsは、MPCデスクトップソフトウェア内で動作する拡張機能で、あらゆるサンプル音源のステムを抽出し、ボーカル・ドラム・ベース・メロディの4パートに高い音質を維持しながら分離させて制作ワークフローに組み込むことができる新機能。
取り込んだサンプルの任意の範囲でスタートポイントとエンドポイントを選択し、「Create Stems」を選択するだけで、数秒で4パートに分かれた各サンプルソースが扱えるようになり、各パートに分かれたサンプルは、MPCではお馴染みのチョップやスライス、エフェクト追加も自由に行うことができるため、新しい楽曲の素材として柔軟に活用することができます。
MPC Stemsは、MPC Liveシリーズ、MPC One、MPC One +、MPC X、MPC Xse、MPC Key 61、MPC Key 37、MPC Studio Mk2といった機種のコントローラーモード(PCと接続して使用するモード)でまずは利用することができます。
現段階ではハードウェア単体で使用するスタンドアローンモードでは直接STEM機能の利用はできませんが、一度デスクトップソフトで作成したステム素材を保存しハードウェアに転送することで、スタンドアローンモードでもステム素材を扱うことが可能になります。将来的にはスタンドアローンモードでも直接STEM機能の利用ができるようになるとのこと。
MPC Stemsの利用にはAkai公式サイトからライセンス購入が必要
MPC Stemsを利用するためには、Akai公式サイトからアドオンライセンス購入が必要になります。価格は$9.99で、AKAI/MPCログインに使用しているメールアドレスと同じメールアドレスで購入することで自動的にアカウントにライセンスが付与されます。
macOSとWindows両方に対応しており、MPCバージョン2.14以降が必要になるため、自分のソフトのバージョンをチェックしておきましょう。
ライセンス購入後ソフトウェアを立ち上げ、設定からMPC Stemsをアクティベートすることで利用が可能になります。
ここ数年でDJ、楽曲制作の世界で急速に広がったステム機能
DJソフトでは、djay、Serato、rekordboxなどの主要ソフトですでにSTEM機能に対応しており、DJミックスの技術においてもここ数年で最もインパクトのある機能であると言えるオーディオ分離技術。
サンプリングにおいてSTEM機能が大いに役立つことは言うまでもなく、サンプルから綺麗にボーカルやドラムを抜き出せるパートを一生懸命探したプロデューサーの苦労は過去のものになりそうです。
このステム機能を活用すれば、サンプリングの自由度が飛躍的に向上し、あらゆる音源サンプルから好きなパートだけを抜き出すことが簡単にできるようになるため、音楽クリエイターのクリエイティブなワークフローに大きく寄与する事は間違いないでしょう。
出典:Akai Pro