DJ機材としてビギナーからプロフェッショナル向けまであらゆる層に支持され業界スタンダードとなっているのはPioneer DJの製品ですが、こと一桁万円台のカテゴリーだけで見るとPioneer DJの一強とは言えません。
老舗DJ機材メーカーであるNumarkの製品は、1〜9万円台のエントリー向けDJ機材のカテゴリーで充実した製品ラインナップを展開しており、類似機能を持つ他社製品に比べて圧倒的コストパフォーマンスで人気を誇ります。
今回はそんなNumarkが送り出すエントリーモデルDJコントローラーの「Mixtrack Platinum FX」と「Mixtrack Pro FX」をピックアップ。価格も機能も似ている両機種の違いを解説していきます。
外観/レイアウト
両機種の外観は、ブラックのボディにレッドのLEDアクセントカラーが採用されている点は共通で、パッと見の外観の差はほとんど無いと言えます。
それもそのはず、サイズは横53.6cm、奥行き24.6cm、厚さ5.1cmと全く同じで、重量に関しても100gの差しかなく、後述するジョグホイール中央のディスプレイの有無が両機種の唯一の違いと言えます。
ジョグホイール中央の高解像度ディスプレイの有無
左右のデッキ部分に関しては、大型6インチ・ジョグ・ホイール、8個のパフォーマンス・パッドを中心とする各種ボタン類やピッチフェーダーが配置されている点は両機種ともに共通となっています。
両機種の唯一の違いが、ジョグホイール中心に搭載された高解像度ディスプレイの有無。この高解像度ディスプレイはMixtrack Platinum FXのみに搭載されており、ロードした楽曲のBPMやプラッターポジション、残り時間、ピッチ・アジャスト、キーなどの重要な楽曲情報を表示することができ、DJ中にパソコンに視線を移すことなくプレイに集中できます。
4デッキか、2デッキか
Mixtrack Platinum FX:4デッキ
Mixtack Pro FX:2デッキ
両機種のもう一つの違いが、デッキ数の違いです。
ミキサーは両機種とも2チャンネルとなっておりますが、Mixtack Pro FXが2デッキ(左右のデッキに1曲ずつ読み込み)なのに対して、Mixtrack Platinum FXは4デッキ(左右のデッキに2曲ずつ読み込み可能)に対応していることで、同時に4曲の楽曲を扱うことが可能になっています。
ジョグホイール右下に配置された「SCRATCH」ボタンは、普通に押すと”スクラッチ機能がオン”になるのは両機種共通ですが、動作が異なるのが、ジョグホイール左下に配置された「SHIFT」ボタンを押しながら「SCRATCH」ボタンを押した場合。具体的にはSHIFTを押しながらSCRATCHボタンを押すと両機種の動作は以下のようになります。
Mixtrack Platinum FX:読み込むトラックを切り替える
Mixtack Pro FX:トラックを一時的に逆回転させる
左のデッキにトラックAとトラックC、右のデッキにトラックBとトラックD、のような形でロードし、デッキ切り替えボタン(SHIFT+SCRATCH)でAとC、BとDを切り替えてそれぞれコントロールができるという構造で、リミックスやマッシュアップを取り入れることが容易になり、クリエイティブなDJプレイの可能性が広がるのは、4デッキ対応のMixtrack Platinum FXの強みだと言えるでしょう。
Serato DJ Liteが付属
両機種共に対応ソフトとしては、Serato DJ Liteが標準付属しており、各パッドなどはSerato DJ Lite用に事前にマッピングされています。有償でSerato DJ Proにアップグレードすることも可能ですが、基本的なDJプレイに必要な機能はSerato DJ Liteでも十分なため、ミックスの録音をSerato DJ内で行いたいなどでない場合は無償のSerato DJ Liteのままで問題ないでしょう。
ストリーミングサービス対応だが。。。
両機種共にTIDALとSoundCloudのストリーミングサービスに対応していると製品説明に記載されていますが、この2つのストリーミングサービスは日本国内ではサービス利用ができないため、現時点では日本で使用する場合は無関係と言っていいでしょう。
ただ、Serato DJはBeatport StreamingとBeatsourceに対応しているため、ストリーミングサービスはこの2つを使用できます。
また、DJプレイに使用する楽曲は、当然Serato DJの中(パソコン内)に入っている楽曲も使用が可能です。
USBバスパワー駆動
両機種共にUSBバスパワー駆動ということで、接続したパソコンから電源供給がされるため、コンセントを確保する心配は無用です。もちろん長時間DJプレイをする際などはパソコン自体への電源供給は必要ですが、ケーブル一本でパソコンとDJコントローラーを接続し、すぐにDJプレイが行えるのは嬉しいですね。
その他両機種の共通機能・仕様
その他仕様に関しては、Mixtrack Platinum FXもMixtack Pro FXも共通となっており、両機種の違いはありません。
- Seratoの内蔵ソフトウェア・エフェクトを操作するプレミアム・パドル・トリガーが2基搭載
- 専用インスタントループ
- フル3バンドEQとオーディオ・スイープ用フィルター・ノブ
- マイク入力及びヘッドホン出力
- 24ビット・オーディオ出力
- システム要件:macOS High Sierra 10.13以降 / Windows 10 (64-bitのみ)
価格
Mixtrack Platinum FX:¥32,980(税込)
Mixtack Pro FX:¥27,980(税込)
両機種の市場小売価格はMixtrack Platinum FXが32,980円、Mixtack Pro FXが27,980円と5,000円の差があります。
上記までの説明から、
- ジョグホイール中央の高解像度ディスプレイの有無
- デッキ数
が両機種の違いとなっており、この2点に5,000円分の価値を感じるかどうかが、どちらの機種を選ぶかの判断基準になりそうです。
まとめ
非常に似ている2機種、「Mixtrack Platinum FX」と「Mixtack Pro FX」の違いを比較していくと、ジョグディスプレイの有無と対応デッキ数の違いという明確な違いがあることをご紹介しました。
この機能にどこまで価値があるかは人ぞれぞれではありますが、ジョグディスプレイがあることによってDJ中にパソコンに目を移さなくてもいい、3曲以上の楽曲を同時にコントロールしてDJプレイの幅を広げられることは、5000円以上の価値があると考えてもいいのではないでしょうか。
あまりにも予算がギリギリ、というような状況でなければ、Mixtrack Platinum FXを選んでおけば、後から後悔せずに済むかも?