大音量で音楽をプレイするDJにとって”音質“はプロフェッショナルのみならずビギナーDJもこだわりを持つべきポイントです。
音割れしていたり耳にキンキンするような低音質の音楽を使えば長時間音楽を聴くことが苦痛になりオーディエンスは離れていってしますでしょうし、体の芯から揺さぶられるような高音質な音楽を使ったDJプレイはオーディエンスの心をがっちり掴むでしょう。
今回はDJの音質を向上させるために出来るいくつかの方法とサウンドクオリティをなるべく落とさないために気をつけたいポイントをご紹介します。
1. 高音質な音源データを使用する
いくら高価な機材を使用していたりスキルがあったとしてもそもそもDJプレイでかける音源データの音質が悪ければ元データ以上の音質にすることはできません。
デジタルファイルをDJに使用する場合は可能な限り非圧縮音源(WAV, AIFF, FLAC等)を使用する方がベターでしょう。
一般的な音楽ファイル形式はMP3やAACなどの圧縮音源となっており、ファイルサイズを小さくするために圧縮が行われていて、「kbps」で表される圧縮率(ビットレート)の数値が小さければ小さいほど圧縮率が高いことを意味し音質は低くなっていきます。
例えば世界で最も普及している音楽ストリーミングサービスであるSpotifyで配信されている音楽をモバイル端末で聴いている場合は、ネットワーク状況に合わせて無料プランの場合24kbps, 96kbps, 160kbps、プレミアムプランの場合は24kbps, 96kbps, 160kbps, 320kbpsの音質で配信されています。
DJの利用が想定されているレコードプールやDJ用ストリーミングサービスでは320kbpsや256bpsのMP3ファイル形式で音源データが提供されていることがほとんどで、ダンスミュージック専門の音楽ダウンロードサイトではMP3音源に加えてWAV等の非圧縮音源を購入できるサイトもあり、欲しい音源がある場合は複数の販売サイトで探してみて出来るだけ高音質な音源ファイルを購入することが音質にこだわる上ではベストでしょう。
ただ非圧縮音源は容量が非常に大きく、4分ほどの320kbps/MP3音源であれば10MBほどのファイルサイズになるのに対してWAVだと40MBほどのファイルサイズとなります。楽器曲数が増えれば増えるほどストレージ容量を圧迫していきファイルを保管するためのコストと時間が嵩むというデメリットはあります。
一方で、圧縮音源といえども基本的には人間の聴覚では認識できないレベルで圧縮がされているという前提であり、実際非圧縮音源と圧縮音源の違いがわかるかどうかは圧縮率やリスニング環境、聴く人の耳によって差があるという現実があります。
これは長年論争が繰り広げられているトピックであり、音質の差がわからないという場合も多々あるということも踏まえる必要があります。
もし可能であれば自分がDJを行なう環境などでもリスニングテストを行い実際に音質の違いはわかるのか実験してみることも一つの手段でしょうし、その結果を踏まえてどのファイル形式の音源を使用するかを検討できればベストでしょう。
2. 高品質なケーブルを使用する
PCやUSBメモリに入った音源データをDJ機材、アンプなどを通してスピーカーに信号を伝えることで音が鳴っているわけですが、この音楽信号が伝わる過程で通過するケーブルにこだわることも一つの音質向上のために出来る方法です。
DJ機材などで使われる高品質なケーブルとして代表的なものはOYAIDE(オヤイデ電気)の「d+」シリーズ。DJやアーティストなどのフィードバックを活かして設計されたこのケーブルは、立体的で歪みが少ない音を最大限に再生させるため、最適な素材のコンビネーションとシンプルな構造で伝送ロスを減らし長時間にわたる大音量のリスニングに適した高品質なサウンドをもたらすとしています。
優れたデザイン性も魅力で、このケーブルを使っているだけで「お、こだわってるな」と一味違う印象を与えることが出来るでしょう。
Class B/A/Sというラインナップがあり音質はB<A<Sの順で高音質という位置付けになっており、USBケーブルやRCAケーブルなど様々な種類があるので自分の使用している機材にあった端子の物をチョイスしてください。
3. 音量のクリップに気をつける
DJプレイを行う上でサウンドに迫力を持たせようとするあまりついついトリムを12時の方向から大きくしてしまう人は多いと思います。
ボリュームや各EQを上げれば上げるほどサウンドシステムの出力に対する負荷は大きくなり、音割れが発生したり歪みが発生する可能性が高くなります。
ベストな音質をキープするためにも、DJプレイの際は一般的にミキサーに緑・黄・赤で表示されるボリュームレベルがレッドゾーンにならないように気を付け、出来ればグリーンゾーン、最大でもイエローのゾーンまで程度に留めておくことがベストな音質でDJプレイを行うために気をつけたいポイントになります。
まとめ
デジタルファイルを使用することが普通になった現在では、様々な電子機器やソフトウェア、音源ファイルを使用するDJには世間一般以上のデジタルリテラシーが求められます。
オーディオ関連の知識と共にデジタル機器やファイルについての知識を深めることが高音質なDJプレイを行うための近道となるでしょう。