大手ライブストリーミング配信プラットフォームの一つ「Twitch」が、著作権侵害等のリスクを気にせずにDJ配信が行える、DJ向けの新しい専用プログラム「Twitch DJプログラム」を発表しました。
多くの楽曲で権利関係を気にせずにDJ配信が可能になるTwitchのDJプログラム
過去にこちらの記事で特集したように、他アーティストの楽曲を使用するDJにとって、合法的に自身のDJパフォーマンスをライブ配信する行為は完璧なライセンスクリアランスを取ることが難しく、グレーゾーンのまま行われているというのが現状でした。
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今回、大手ライブストリーミング配信プラットフォームであるTwitchが発表したDJプログラムでは、ユニバーサルミュージックグループ、ワーナーミュージックグループ、ソニーミュージックといった主要レーベルから多数のインディーレーベルとのパートナーシップにより、参加レーベルが権利を保有する楽曲について、著作権侵害などのペナルティ措置を受けるリスクを気にせずにDJ配信を行うことが出来るようになります。
また、正式に「DJ」カテゴリーが誕生してプロモーションが行われ、DJカテゴリー全体としての成長が促進される施策の展開も予定されています。
DJにはライセンス料のコスト負担も発生
DJが権利侵害を気にせず安心して自身のパフォーマンスを世界中に配信できる環境になるということは嬉しいニュースですが、その反面、DJにとっては負担すべきコストが発生する内容にもなっています。
自身のチャンネルでのライブ配信で得られた収益の一部は、使用した楽曲のライセンス保有者に支払われることになり、ほとんどのストリーマーの場合このコストはストリーマーとTwitchが半分ずつ負担することになるとのこと。
このコストの発生はDJにとっては収益が減少することを意味するため、急激な負担増を避けるために、Twitchは1年間の補助金を提供し、DJのプロモーションを行って、「DJ」カテゴリー全体の視聴者数の拡大とともに徐々に減額するとしています。
なお、このコスト負担は収益化していないDJには適用されず、その場合のライセンス料は100%Twitchが負担することになるとのことです。
DJ配信以外も行う場合は別チャンネルでの運用が推奨
Twitch DJプログラムは、DJの収益化を目的としてDJ配信を可能にするためにデザインされており収益分配の契約が必要となるため、DJ配信以外の配信も行う場合は、DJ配信用のチャンネルと、DJ以外の配信用のチャンネルの2つのチャンネルを用意することが推奨されています。
また、本プログラムへの参加に同意したDJは、オンデマンド配信、クリップ、ダイジェストをTwitchに保存できなくなります。これはライブ配信とは異なる権利が発生することからの措置となります。
DJ配信の持続的成長の大きな一歩となるか
DJプレイで使用した楽曲の制作者に正当な対価を支払うというのは当然でありながら、実現が難しい問題の一つです。
コストの発生という側面はあるものの、Twitchという巨大なプラットフォームが、「DJ」というカテゴリーの強化と問題の解決に動いたことは業界としては大きな一歩になるでしょう。
こうした仕組みの整備が今後も進み、DJカルチャーの合法的な発展に繋がることで、DJと楽曲制作者双方に利益をもたらす状況になることを期待したいですね。
このTwitch DJプログラムは、2024年7月から8月にかけて開始予定となっています。
出典:Twitch