ターンテーブルを使用する人にとって必ず必要になるのが「レコード針」。
レコード針やカートリッジは安いものでも数千円〜の値段で、ある程度の性能を求めれば軽く数万円するものも珍しくなく、ターンテーブルを2台同時に扱うDJ、特にスクラッチやビートジャグリングを多用するようなターンテーブリストにとっては消耗品となり、頻繁に買い替えるとなるとかなりの出費となってしまう事が悩みとしてある方も多いのではないかと思います。
また、通常のレコードプレイ時はもちろん、DVSでDJを行う際でも物理的に針がレコード盤に乗っているため、針飛びなどのトラブルが起こりパフォーマンスに影響が出る可能性もゼロにはできません。
そんなレコード針に関する悩みを一発で解決してくれる革新的ツール、それが「Phase」です。
Phaseとは?
Phaseは、DJソフトを使用したDVSプレイ時に、レコード針を使用する事なくターンテーブルにセットされた専用端末を使用してトラックをコントロールすることができるワイヤレスコントローラーです。
Serato DJ、rekordbox、Traktor、Virtual DJ、djayと主要DJソフトウェアにはすべて対応しており、ターンテーブルのセンターホールにセットしたUSBスティックほどの大きさの送信機から、DVS対応ミキサーもしくはDVSインターフェイスに接続された受信機に信号が送られ、DJソフトでロードされた楽曲をコントロール出来ます。
内蔵された高精度のジャイロスコープで回転を検知し、5ミリ秒以下の低遅延で信号が送信されるため、スクラッチやビートジャグリング、非常にゆっくりな動作もしっかり読み取り高精度なDJプレイをサポートしてくれるのが特徴となっています。
ワイヤレスのため、振動による針飛びなどの物理的トラブルとも無縁であることも大きなメリットとして挙げられるでしょう。
当然機械ですので、Phase自体が故障すれば買い替え費用はかかりますが、レコード針ほどの消耗頻度になる可能性は低いでしょうし、ファームウェアアップデートで新機能の追加や機能改善がされるため、長期的な観点から見たコスト的にもレコード針と比較して優位性があるでしょう。
Phaseは日本で使用できない?
DVS DJの革命的ツールとも言えるPhaseですが、国内で使用するには大きな問題が一つあります。
それは、”現時点で日本国内での無許可での使用は違法になる”ということ。
そしてその理由は「電波法」。
Phaseは、現段階で一般的に「技適」と言われる無線機器に対する国内使用における認証を得ていないため、使用者が個別に申請をするなどの対応をとっていない場合は、使用すると電波法違反となり、もし違反が発覚した場合は、電波法の規定に基づき、“1年以下の懲役又は100万円以下の罰金”、更に、重要な無線局に妨害を与えると、“5年以下の懲役又は250万円以下の罰金”に処せられることになります。
電波法についてここではあまり深くは掘り下げませんが、DJ機器に限らず、世界の最新機器が日本では販売されないという状況を引き起こす原因の一つとなっている法律で、コストや労力の観点からメーカーが日本展開に積極的になれないというのも理由としてあると推測されます。
現時点では使用は自己責任
注意点として、この電波法は違反の罰則の対象は「メーカー」や「販売店」ではなく、「使用者」であるということ。
事実、Phase製品は並行輸入品が日本のアマゾン等でも購入ができる状態となっており、メーカーのウェブサイトからオンライン注文で直接入手することも出来ます。
上記の電波法の問題に関わるコンプライアンス的な観点からだと推測されますが、国内のDJ機器取扱店などでは正規販売はされていません。
購入し入手することは可能ですが、万が一使用して電波法違反とみなされた場合、罰則を受けるのはユーザーですので十分注意が必要です。
Phaseの日本国内での正式販売開始はあるのか?
Phaseの日本国内での正式販売開始に関しては現時点で情報はありません。
ただ、Phase自体は2018年から存在している商品であり、今もなお日本国内での正式販売がされていない状況を考えると、技術的もしくはコスト/労力的に電波法の問題をクリアするのがかなり難しいのではと推測されます。
DVSでのDJスタイルに革命をもたらしてくれる可能性を秘めた商品だけに、将来的な日本での正式販売を期待したいですね。
Phase: https://www.phasedj.com/