デジタル音源が主流になった今も根強い人気とヘビーユーザーにより支えられるアナログターンテーブルのシーン。
レコードプレーヤーは数多くあれど、DJ用途に向けて開発されたターンテーブルは、正確にレコードを回転させる信頼性のある機構と優れた耐久性で、一生物とも言えるほど長きにわたって使い続けることの出来るのがDJ用ターンテーブルの特徴です。
今回は普通のレコードプレーヤーとDJ用レコードプレーヤーの違い、選ぶ際に注目するポイントをご紹介し、DJ用ターンテーブルのおすすめモデルをピックアップしてみました。
DJ用ターンテーブルの特徴
- ダイレクトドライブ方式:レコードプレーヤー(ターンテーブル)の駆動方式には、ターンテーブル(回転台)とモーターがゴムベルトで繋がれたベルトドライブ方式とターンテーブルがスピンドル(回転軸)を介してモーターに直接接続されたダイレクトドライブ方式があり、DJ用ターンテーブルは基本的にダイレクトドライブ方式のものになります。
ダイレクトドライブ方式はターンテーブルとモーターが直結されているシンプルな構造で、ターンテーブルとモーターの回転数がイコールになります。構造がシンプルであるが故に故障も非常に少ないという特徴があります。 - トルクの強さ:先ほどのダイレクトドライブ方式がDJ用途に適している大きな理由が回転力(トルク)の強さ。ベルトドライブ方式のようにベルトを介して回転を伝えるのではなく直結されたモーターが直接回転を伝えているため、一定の回転速度になるまでの時間も短くスクラッチや手でレコードの回転を制御するDJの使い方にマッチしたパワフルな回転機構を備えていることがDJ用ターンテーブルには求められます。
- ピッチコントロール機能:曲と曲をより自然に繋げていくためにBPMの調節に欠かせないのがレコードの回転速度を制御出来るピッチコントローラーです。DJ用ターンテーブルには±8 %や±16 %の範囲で回転速度を調整できるピッチコントロール機能が搭載されています。
- 重量とサスペンション:電子機器は一般的に軽量・小型化されることが多いですが、激しく負荷がかかるDJプレイに耐える必要があるDJ用ターンテーブルはある程度の重量と振動を吸収するサスペンション機構が必要です。激しい重低音の振動やスクラッチプレイで針飛びを起こさない安定性が求められます。
DJの使うターンテーブルと普通のレコードプレーヤーは違うのか?
DJ用途に設計されたターンテーブル(レコードプレーヤー)と一般的なリスニング用途のレコードプレーヤーに違いはあるのか?という疑問を持つ人も少なくないでしょう。
先述の通り、DJ用ターンテーブルは、短時間で規定の回転数に至るトルクの強さや、逆回転やスクラッチなどの激しい使用に耐えられる耐久性が求められます。
一般的なリスニング用レコードプレーヤーは、一度レコードに針を落とすと曲が終わるまでそのまま触ることがないため、音楽再生の安定性を重視した低トルクのベルトドライブ方式が採用されていたり、音楽を再生するために最適化されたトーンアームの設計になっていたりと、そもそも求められる仕様が異なりDJ用に適した設計になっていません。
そのため、針飛びがしやすかったり、激しい使い方をすると壊れる可能性が高いため、普通のレコードプレーヤーをDJで使用することは難しくなっています。
DJプレイという特殊な用途に使用するレコードプレーヤーだからこそ、専用に設計されたモデルを選ぶことが重要です。
DJ用ターンテーブルのおすすめモデル6選
Pioneer DJ / PLX-CRSS12
DJ用ターンテーブルの世界のゲームチェンジャーとなり得るギアが2023年9月に発売されたPioneer DJ「PLX-CRSS12」です。
最も大きな特徴が、トーンアームフリー(レコード針無し)でのDVSプレイを可能にする機能で、トーンアームを介さずレコードの位置を読み取るため、針飛びの心配がなく、高い安定性を実現します。パフォーマンスパッドやOLEDディスプレイも搭載しており、スクラッチやパッドプレイを多用するオープンフォーマットスタイルのDJに最適なレイアウトになっています。
レコード針をセットすればもちろんレコードの再生も可能な、まさにデジタル・アナログハイブリッドスタイルのターンテーブルです。
ちなみにDVSプレイには各DJソフトウェアのDVS機能に対応したミキサーが必要になります。
Technics / SL-1200MK7
DJ用ターンテーブルの購入候補として挙げられるのは、まずなんといってもDJカルチャーの礎を築いた伝説的DJターンテーブルであるテクニクス「SL-1200シリーズ」の最新機種SL-1200MK7です。
現在活躍するDJも使ったことのない人はいないであろう、世界中ほとんどどのクラブでも使われているDJ用ターンテーブルの代名詞として絶対的な存在であるのがこのSL-1200シリーズです。
最新のSL-1200MK7シリーズはWEB販売は行われておらず各取扱店の店頭でのみ販売されている形のようですので、お買い求めの際はまずお問い合わせされることをオススメします。
TECHNICS ( テクニクス ) / SL-1200MK7-K DJ向けターンテーブルシステム【店頭販売】Pioneer DJ / PLX-500
デジタルDJ機器の世界No.1ブランドであるPioneer DJが製造・開発しているアナログターンテーブルが「PLX-500」です。
見た目含めてSL-1200シリーズの代替として検討すべきターンテーブルで、SL-1200MK7は1台約10万円ほどするのに対してPLX-500であればおおよそ半額の約5万円ほどで入手出来るため、「ターンテーブルといえばTechnicsでしょ!」みたいなこだわりがない人には検討してみたいモデルです。
Pioneer DJ / PLX-1000
PLX-500の上位モデルという位置付けであるのが同じくPioneer DJの「PLX-1000」です。
高いトルク、±8%/±16%/±50%の広い調整範囲を持つピッチコントローラーを搭載したPLX-1000も今から購入すべきDJ用ターンテーブルとしての有力な候補となります。
Reloop / RP-7000 MK2
次に候補になるのはヨーロッパで高い知名度と人気を誇るDJ機器総合ブランドReloopのアナログターンテーブル「RP-7000 MK2」です。
これまで紹介したターンテーブルと同様プロフェッショナルDJ達の求めるハイトルクモーター、堅牢性、±8%/±16%/±50%の広い調整範囲を持つピッチコントローラーを搭載したDJ用ターンテーブルです。
RANE / TWELVE MKII
最後に、こちらは厳密にいうとアナログターンテーブルではありませんが、同様の操作感を持つデジタルDJ機器として紹介したいのがRaneの「TWELVE MKII」になります。
見ての通り見た目はターンテーブルのようですがアナログレコードの再生などは出来ません。あくまでデジタル音源に対応するDJコントローラーですが、ユニークなのがターンテーブルのようにプラッター部分が物理的にモーター駆動で回転しスクラッチなどの操作がアナログターンテーブルの操作に近い感覚で行えるという点。
あくまでデジタルですのでレコード針も入りませんし針飛びの心配をしなくていいというのはデジタルならではのメリットでしょう。
まとめ
今回はDJ用ターンテーブルの特徴とおすすめを6モデルをご紹介しました。
DJの代名詞の一つと言えるスクラッチやDMCのようなターンテーブリスト達が腕を競い合うバトルDJシーンもターンテーブルがあったからこそ生まれたカルチャーであり、レコードプレーヤーを楽器のように扱い音楽の新たな可能性を広げたDJとは切っても切れない存在であるのがDJ用のアナログターンテーブルの存在です。
ターンテーブルはDJの使用する機材として、アナログレコードでのプレイはもちろん、DVSコントロールというデジタル融合をさせた形でも今なお第一線で活躍しているDJ機材です。
目指したいDJスタイルはアナログレコードを使用するスタイルなのか、もしくはデジタル音源をコントロールレコードで扱うDVSスタイルなのか、という点が最適なモデルを選ぶポイントになるでしょう。