DJにとって必要不可欠な商売道具の一つが「ヘッドホン」。
DJ用のヘッドホンは普段使いのヘッドホンを選ぶ観点とは少し違う、DJならではの視点から適切なモデルを選ぶ必要があります。
今回は普通のヘッドホンとは異なるDJ用ヘッドホンならではの特徴、購入時に着目するべきポイント、そしてDJ用途におすすめのヘッドホンをご紹介します。
DJはヘッドホンで何をしているのか?
そもそもDJは何のためにヘッドホンをしているのでしょうか?
DJプレイでは、フロアに流れている曲と、次に流す曲を同時に聴く必要があります。ヘッドホンでは、オーディエンスには聞こえない「次にかける曲」を聴いており、今かけている曲と自然なミックスになるように、次の曲のBPMやボリュームなどの調整を行なっています。
DJが片耳にヘッドホンを当てている理由
先述の通り、DJはフロアでオーディエンスが効いている曲と次にかける曲を同時に聴いています。ヘッドホンを当てていない方の耳で今流れている曲を、ヘッドホンを当てている方の耳で次に流す曲を聴き、ミックスのバランスをとっています。
DJ用途に適したヘッドホンとは
ヘッドホンと一言で言っても、その種類は様々で、DJ用途に適していないヘッドホンを選んでしまうと、モニターが出来ずプレイに支障をきたしてしまうため、DJに使用するのに適切なタイプを選ぶ必要があります。
- 密閉型/開放型:ヘッドホンはハウジング部分のドライバーユニットの密閉性によって密閉型/開放型に分かれますが、大音量の音楽が流れる中で次に流す曲をモニターする必要のあるDJ用途では、外部の音を遮断し低域の出力に秀でた密閉型の方がDJ用ヘッドホンには適しています。
- 有線/無線:現代ではワイヤレスヘッドホン/イヤホンが一般的ですが、ワイヤレスはハイエンドモデルであっても0コンマ何秒かの遅延が発生することは避けられません。少しの遅延も許されないDJモニター用では有線を使用することがまだまだ多いでしょう。
- オンイヤー/オーバーイヤー:耳の上に乗せる形でフィットさせるオンイヤー型と、耳を完全に覆う形のオーバーイヤー。オンイヤー型はコンパクトで持ち運ぶ際は折りたたみ可能なモデルも多くポータブル性に優れますが、ハウジング部分は小さく耳に押し当てるような装着感になるため長時間使用していると耳が痛くなる場合もあります。
逆にオーバーイヤー型は耳を覆う形で装着するため長時間の使用も快適に行え密閉性にも優れますが、サイズが大きくなるという双方にメリットデメリットがあります。
DJ用ヘッドホンで考慮すべきポイント
- 音質:高域・中域・低域のそれぞれの帯域がしっかりとモニターできるか、そしてクラブの大音量に負けない十分な音量を出力出来るかはDJ用ヘッドホンにとって最も重要なポイントです。
それぞれのヘッドホンは得意な帯域がありますので、自分がプレイする音楽ジャンルによって、どの帯域に強いヘッドホンが適しているかを探してみてください。 - 遮音性:爆音の中で次に流す曲をモニターする必要のあるDJヘッドホンは、周りの音をしっかりとシャットアウト出来る遮音性の高いヘッドホンである必要があります。
- 耐久性:DJによって、頭に装着したまま耳の部分だけを当てたり外したりするパターン、首にかけて耳と肩でヘッドホンを挟みながらモニターするパターンなど、様々なスタイルがありますが、頻繁に付けたり外したりする場合や、モニターする際にねじれるような形になる場合は、可動域の広いタイプのヘッドホンを選ぶといいでしょう。
また汗などへの耐水性、ケーブル接続部の強度も確認するといいでしょう。 - 快適性:DJプレイは練習やパフォーマンスで数時間にも及ぶケースが多いため、長時間の着用にも耐えることが出来る快適なものを選ぶ必要があります。
オーバーイヤー型かオンイヤー型か、イヤーパッドの質や自分の頭・耳の形等を考慮して最適なモデルを見つけてください。 - デザイン:オーディエンスはDJのルックスも当然見ていますので外観も重要な要素です。
シンプルでスタイリッシュなデザイン、ゴツゴツした男らしいデザインなど、自身がDJとしてどう見られたいかも性能と同じく重要な要素でしょう。
DJ用ヘッドホンのおすすめモデル10選
SENNHEISER HD 25
Sennheiser HD 25はDJヘッドホンとして「業界スタンダード」の一つであるオンイヤー型のヘッドホン。
海外のトップDJ達の中でも使用率が高く、ミニマルなデザイン、高い音圧レベルへの対応、140g以下の超軽量設計であらゆるシチュエーションでのDJプレイを支える人気モデルです。
また、片側に接続されているケーブルは脱着式で収納時には取り外すことも可能。断線などのトラブルの場合もケーブル交換のみで使い続けることができるのも嬉しいポイントです。
ハウジングとアーム部分の接合部がやや頼りない印象を受けますが、よっぽど負荷を与えない限り破損する可能性は低いでしょう。
世界中のDJに長年愛されているヘッドホンであるという信頼性が堅牢性を含めた性能を証明してるモデルです。
Pioneer DJ HDJ-CX
Pioneer DJ HDJ-CXはミニマルでスタイリッシュなデザインと快適な装着感を両立さえたプロフェッショナルDJ向けヘッドホン。
ステンレスを使用したヘッドバンドはハードユースにも耐え、アメリカ国防総省が制定したMIL規格(MIL-STD-810H) にも準拠する耐久性も兼ね備えています。
Audio Technica ATH-PRO5X
Audio Technica ATH-PRO5Xは、DJ用に設計されたφ40mmドライバーを搭載し、1,500mWの高耐入力でプロフェッショナルなDJの現場に対応。
遮音性が高く長時間の使用でも疲れにくいオーバーイヤー型ヘッドホンです。
Audio Technica ATH-M50x
Audio Technica ATH-M50xは、全世界で累計販売数150万本を超える実績を持つMシリーズのハイエンドモデル。
DJのみならず世界中のエンジニア、ミュージシャンから愛されるオーバーイヤー型の密閉型スタジオモニターヘッドホンです。
音の一つひとつを正確にモニタリングできる高いサウンドクオリティーに加え、前後90度の反転モニター機構を採用しDJプレイ時の片耳モニタリングがしやすいのも嬉しいポイント。
AIAIAI TMA-2 DJ
AIAIAIはデンマーク・コペンハーゲンに拠点を置くヘッドホン・イヤホンのブランド。
フラッグシップモデルとなるTMA-2は北欧らしいスタイリッシュなデザインと独自のモジュール式構造でスピーカーユニット、イヤーパッド、ヘッドバンド、ケーブルの4パーツを用途に合わせてカスタムが可能。
TMA-2 DJはDJモニターに最適な組み合わせでプリセットされたモデルで、大音量の中でも正確なモニタリングが可能な高い遮音性と深みのある低域表現でパンチのある力強いサウンドが特徴です。
Technics EAH-DJ1200
EAH-DJ1200は、ターンテーブルの代名詞SL-1200の生み出したテクニクスが開発したDJが求める音質と性能を磨き上げたオンイヤー型ヘッドホン。
大音量の環境下で次に流す曲のテンポ(BPM)やピッチをモニタリングしやすいクリアな音質と、長時間の使用でも快適にモニターができる最適な低域と高域のバランスを実現。
強度と耐摩耗性に優れたステンレス軸とPOMワッシャーを採用したハウジング部の270度回転機構はDJの片耳モニタリングのしやすさにこだわった構造になっています。
BEHRINGER HPX6000
BEHRINGER HPX6000は、ダイナミックで迫力のある低音域を出力できる大口径50mmネオジウムドライバーを搭載した、プロフェッショナルDJヘッドホン。
ヘッドバンド・ハウジング部は、高級感が漂うマットな質感のソフトタッチラバーコーティングが採用されており、イヤーパッドには着け心地と耐久性を兼ね備えた、皮製タイプが採用。
1万円以下というコストパフォーマンスに優れたモデルです。
BEHRINGER HPX2000
BEHRINGER HPX6000よりもさらに安価、なんと驚きの3,000円以下で入手できるのがこのHPX2000。
見た目はややチープさを感じますが、ワイドなダイナミックレンジとしっかりとした低音の音圧感でDJプレイでの使用にも十分対応できるビギナー向けモデルです。
Pioneer DJ HDJ-CUE1
Pioneer DJ HDJ-CUE1は、DJ用ヘッドホンに求められる耐久性と機能性、豊かなサウンド、持ち運びやすい折りたたみ機構を兼ね備え、1万円以下という高いコストパフォーマンスを実現したビギナーDJに最適なヘッドホン。
クリアな中高音域、ベースやキックドラムなどボリューム感のある低音域も再現することで正確なモニタリングを実現します。
SONY MDR-7506
世界中のミュージシャンやエンジニアが愛用するスタジオモニターヘッドホンのベストセラーモデルであるSONY MDR-7506。
兄弟モデルとも言えるもう一つの定番MDR-CD900STは国内ではあらゆるスタジオで見かけると言っても過言ではない鉄板モデル。
MDR-CD900STはハウジング部分にレッドのラインがデザインされているのに対して、MDR-7506はブルーのラインが入ったデザインです。
MDR-7506はカールコードが採用されていたり、より豊かな低音が出力できるモデルとして、DJ用途としてはやや優勢ということでチョイスしました。