PCDJが普及して早10年以上が経ち、デジタルデバイスとDJプレイはもはや切っても切れない関係性となりました。
今ではPCさえ使わず、スマートフォンやタブレットを使用したDJのスタイルもますます一般的になってきています。
スマホ/タブレットの性能の進化や各DJ機器メーカーの対応アプリの開発により、携帯性に優れ、より直感的に操作できるこれらのモバイルデバイスを使用したDJプレイというのはますます普及していく可能性が高くなってきています。
今回はそんなDJへの敷居を下げ新たなDJスタイルを生み出しつつあるモバイルDJが出来る機材について紹介したいと思います。
モバイルDJアプリ
モバイルDJを始めるにあたってまず決める必要があるのが「どのアプリを使用するか」ということ。
スマホ・タブレットでDJが出来るアプリは複数あり、使用するアプリによって連携できるDJコントローラー(購入すべきハードウェア)が変わってきます。
djay
djayは、ドイツに拠点を置くalgoriddim社が開発したDJ用アプリケーション。
即興でのリミックス、マッシュアップを可能にするリアルタイムでのボーカル・ビート・インスト分離機能「Neural Mix」など、最新のテクノロジーを駆使してクリエイティブなDJプレイをサポートしてくれます。
以前まで人気音楽ストリーミングサービスSpotifyの楽曲を使用してDJが出来るということで人気を博したdjayですが、現在は残念ながら使用出来なくなっております。
しかしながらBeatport LINK、Beatsource LINK、TIDAL*、Soundcloud Go+*に対応しており、別途ストリーミングサービスの有料契約は必要になりますが、ほぼ無限とも言える音源データソースにアクセスが可能です。
*日本では現時点で利用不可
djay対応DJコントローラー
Neural Mixなどの一部機能はPRO版の機能として¥750/月(もしくは¥3,400/年)のサブスク契約が必要ですが、基本的な機能は無料で使えるため、アプリをダウンロードすれば、練習やDJ体験に最適なアプリと言えるでしょう。
▼djayアプリをダウンロード
rekordbox
DJソフトウェアとしてお馴染みのPioneer DJのrekordboxのモバイル版です。
元々モバイル版rekordboxは、Pioneer DJ製DJ機器のための楽曲管理アプリでしたが、2023年3月にリリースされたiOSモバイル版ver. 4.0から(Android版は2023年5月リリース)、ミックスやスクラッチ、エフェクトの追加など、DJプレイがアプリ上で行えるようにアップデートされました。
同社の人気DJコントローラーDDJ-FLX4などと併用することでDJソフトとして使用することもできます。
スマホ・タブレットにローカル保存されている音楽ファイルの他、Cloud Library SyncやMobile Library Sync機能を使えばパソコンのrekordboxソフトウェアで使用している楽曲ライブラリをクラウドを使用してモバイルデバイスと同期することも可能。
Cloud Library Syncの場合はサブスクリプション契約なしでも10曲までなら無償でクラウド同期することができ、Creativeプラン、Professionalプランにサブスクリプション契約しているユーザーは無制限でクラウド同期が出来ます。
Mobile Library Syncは、ライブラリを同期するタイミングはコンピュータとモバイルデバイスが同一のWi-Fiに接続された時のみとなるが、無制限で同期が可能です。
すでにDJコントローラーなどを所有しており、rekordboxをPCで使用しているユーザーにとっては、DJプレイに使用する楽曲準備から実際のDJプレイまで行えるrekordboxモバイルアプリがベストな選択肢になりそうです。
▼rekordboxアプリをダウンロード
WeDJ
WeDJもrekordboxと同じく、DJ機器世界シェアナンバーワンのPioneer DJが開発したアプリ。元々rekordboxでDJプレイ機能が搭載される前までは、このWeDJが唯一Pioneer DJ純正のDJプレイ用アプリでした。
Pioneer DJ製DDJ-200とのシームレスな連携、ストリーミング音楽配信サービスBeatport LINK対応で膨大な音源データを使用した直感的なDJプレイが可能。
機能の使い方を教えてくれるチュートリアル機能とポップヒント機能が充実しており、DJ経験のない初心者でも分かりやすく本格的なDJプレイが行えます。
WeDJ対応DJコントローラー
▼WeDJアプリをダウンロード
TRAKTOR DJ 2
Traktor DJ 2は、Native Instruments社が開発するiPad用無料DJアプリ。
本格バージョンのTRAKTOR PRO 3と同様、Native Instrumentsならではの洗練されたデザインとカスタマイズ性は引き継ぎながらよりシンプルで使いやすいソフトになっています。
テクノ・ハウスなどの四つ打ち系DJにユーザーが多いTraktorを利用したい人や、すでに互換性のあるNative Instruments製ハードウェアを所有している人におすすめです。
対応ストリーミングサービスはSoundCloud Go+のみと、日本国内では利用できないサービスのため国内ユーザーにとって連携できるストリーミングサービスがないのが残念なところ。
TRAKTOR DJ 2対応DJコントローラー
▼TRAKTOR DJ 2アプリをダウンロード
モバイルDJにおすすめの人
- 初期費用を抑えてDJを始めたい人:モバイルDJには高価なPCやDJ機材は必要ありません。手持ちのスマホやタブレットにアプリをダウンロードすればすぐにDJプレイが楽しめます。より操作性を高めたい人はアプリと互換性のある小型のDJコントローラーを併用すればより本格的なDJプレイが楽しめます。
- プロのような細かい調整は必要ない人:ハードウェアのノブやフェーダー操作と比べるとどうしてもスマホ・タブレットのスクリーン上での操作は難しく、操作性という点では劣ってしまいます。「そんな細かい操作はしない」というライトユーザーであれば問題はないでしょう。こちらもDJコントローラーを併用すればある程度本格的なDJプレイに近づくことは可能です。
- 家でのホームパーティーなど趣味での使用がメインな人:モバイルDJは、アプリの安定性や音質面、音響システムとの連携面からクラブ等の現場での使用はまだ現実的ではありません。家族や友人の間での限定的な場で気軽にDJをしたい人はモバイルDJは最適な選択肢となり得るでしょう。