AsliceはDJと楽曲制作者間の新たな収益シェアの形を作れるか

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DJにとって、プレイする楽曲の著作権問題は長年解決すべき問題と業界関係者のなかでも数多くの議論が交わされ、未だ暗黙の了解的な雰囲気でグレーゾーンのままきている事柄の一つです。

技術的、実務的な難しさ、法律的な複雑さ、当事者たちのそれぞれの感情など、DJプレイにおける楽曲使用の権利問題には非常に多くのファクターが存在し、クリアにする事が難しい問題として今日までいたっているのが現状です。

そんなDJの楽曲使用問題に一石を投じようとする気鋭のサービス「Aslice」について今回はご紹介したいと思います。

Asliceとは?

Asliceとは、DJの出演料の一部を、DJプレイで使用した楽曲を制作したプロデューサーに分配出来るようにする自動化システムを提供し、公平な音楽エコシステムを築く事を目的に運営されているサービスです。

自身もDJ/プロデューサーとして活動するDVS1によって設立されました。

Asliceの仕組み

Asliceの仕組みはシンプルです。

  1. DJがイベント等でプレイした楽曲プレイリストのテキストデータをAsliceにアップロード
  2. Asliceはアップされた楽曲情報を元に楽曲制作者を独自の機械学習技術により判断
  3. DJは得た出演料のうち任意のパーセンテージをAsliceに預ける
  4. Asliceはそのお金から手数料(15%)を引いた分をプロデューサー達に分配

という上記の一連の仕組みがAsliceの提供するサービスです。

ポイントとしては、以下が挙げられます。

  • DJが自主的にアクションを起こさない限りお金の流れが発生しないこと
  • シェアする金額(割合)はDJが決められるということ
  • 制作者が不明、特定出来なかった楽曲分の収益は寄付される事

プロデューサー側の視点

プロデューサーは登録後、自分の楽曲がDJに使用される度に収益を受け取る権利を獲得でき、3ヶ月に一度の間隔でPayPal アカウントを通して収益を受けることが出来ます。

収益を受け取るための最小金額は50ドルとなっており、支払い期日時点で収益が50ドルに満たない場合は次回以降の支払いタイミングまで繰り越されます。

プロデューサー側からすると、これまで収益が発生していなかった「DJプレイでの使用料」という新たな収益源が生まれる事になり、デメリットは特に見当たらないのではないでしょうか。

DJ側の視点

Asliceは、rekordbox、Serato、Traktorと主要DJソフトウェアからエクスポート出来るプレイリストのファイル形式に対応しており、PCDJやPioneer DJのハードウェアでUSBストレージデバイスを使用してDJを行なった場合には、使用した楽曲リストをプレイ履歴から自動で用意しアップする事が可能です。レコードやCDなどでDJを行った場合は手動でプレイリストを作成してアップすることになります。

収益シェアの比率は、5%がAsliceが推奨する割合になっていますが、あくまで目安となり、実際の割合はDJ自身が決める事ができます。

また、イベント出演料以外の収益、ライブ配信やミックス販売などの収益からも、さらに言うと収益をDJが得ていなかったとしても、任意の金額をシェアする事が可能です。

DJがAsliceを使うメリットは?

DJがAsliceを利用するということは、これまでしてこなかったプレイリストのアップロードなど作業の負担、自らの収益の一部を自主的に支払う事になる、と考える事もできます。

大儲けしているDJが税金対策で費用にするために利用するという場合はあるのかもしれません。しかし、大多数のDJにとって、自分のギャラが上がるわけでもないのにわざわざその一部を自ら削って支払うのだろうか、という疑問が湧くのは自然でしょう。

これをやらなかったら何らかの罰則や不利益を被ることがあるのか?という点で、現時点ではDJ側の動機としてはやや弱い、という印象があることは否めません。

カルチャーとしての側面

そもそも、DJとプロデューサーの感覚として、「他人の曲を無断でDJに使用している」「DJに勝手に曲を使われている」といった感覚を持っている人がどれくらいいるのか、という話にもなります。

DJ/プロデューサーの知名度のパワーバランスなどにもよって捉え方は変わるでしょうが、一種のカルチャーとして黙認されているという側面もあるでしょう。

Asliceの今後に期待

Asliceは、大きな可能性を秘めたサービスであることは間違いなく、長年アンタッチャブルともいえる業界の問題を解決しようとする勇気は賞賛に値すると言えます。

サービス開始にもかなりの困難があったことは想像でき、今後の普及にも様々な困難があることが予想できます。サービスとしてブレイクスルーを起こすためにどういった戦略がとられるのか、今後のAsliceの動向に注目していきたいと思います。

Aslice: https://aslice.com/

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