DJの使用する機材は、アナログレコードを回すターンテーブルからCDJ、そしてデータ音源を使用するPC DJ、USB DJの時代へ移り変わり、今ではパソコンすら使わずスマホやタブレットでDJが出来てしまう環境が整ってきています。
音源も1曲1曲購入して集めたレコードやデータ音源を使用する時代から、ほぼ無限のライブラリを提供するストリーミング音源が主流になりつつあります。
今回は、日本においては圧倒的なシェアでユーザーも多いiPhoneを使ってDJをするために必要なアプリ3種類と、それぞれのDJアプリに対応したおすすめコントローラーをご紹介したいと思います。
iPhone用DJアプリ
djay
iPhoneでDJができるアプリとしてまず紹介するのは、ドイツに拠点を置くalgoriddim社が開発したDJ用アプリ「djay」です。
DJ用モバイルアプリでは業界リーダーと言えるアプリの一つで、初心者でも使いやすい直感的なインターフェースと高度な機能で最も人気のあるDJアプリの一つです。
そして、djayアプリの圧倒的な優位性として挙げられるのが、なんといっても「Apple Music対応」という点です。
djayは2024年2月のアップデートにより、人気の音楽ストリーミングサービスの一つであるApple Musicに正式対応。djayアプリ内からApple Musicの1億曲以上のカタログにアクセスし、DJプレイに使用できるようになりました。
関連記事:djayがApple Musicに対応。1億曲以上の音源がDJで使用可能に
iPhoneを購入した場合、Apple Musicを6か月間無料で使用できる特典が提供されていることを考えると、djayを無料ダウンロードしただけで1億曲以上の音源を所有するDJが一瞬で生まれることになるという、なんとも恵まれた環境でDJを始めることができます。Apple Musicの個人プランは通常料金でも月額たったの1,080円ですので、DJなら使わない手はないと言えるでしょう。
Apple Musicの他にも、あらゆるジャンルの楽曲がアプリに標準で入っているため、iPhone内に楽曲が入っていなくても十分DJプレイを楽しむことが可能です。また、Apple Musicと同様にBeatport、Beatsourceにも対応しているため、いずれかのサービスのストリーミング契約をしていれば、djayから直接それぞれのサービスの音源にアクセスすることも可能です。
1000以上のループやエフェクト機能、トラック分離機能であるNeural Mix(STEM)などの一部機能は有料版(djay PRO AI)の機能として¥750/月(もしくは¥3,400/年)のサブスク契約が必要ですが、基本的な機能は無料で使えるため、DJ体験には最適なアプリと言えるでしょう。
▶︎ djayアプリ(iPhone/iPad版)の基本的な使い方を解説
rekordbox
DJ機材の世界トップブランドPioneer DJの純正DJ用アプリケーションとしてプロからアマチュアまで幅広く利用されているのが「rekordbox」です。
プロが現場で使うパソコン用DJソフトやDJ用のUSBの楽曲管理用ソフトとして利用されているrekordboxですが、2023年3月のアップデートでアプリ単体でもDJプレイが行えるようになりました。
djayと比べて標準で用意されている楽曲はほぼありませんが、パソコンのrekordboxライブラリと同期することもできるのでPCでrekordboxを使っている人には最適だと言えるでしょう。ストリーミングサービスはBeatport、Beatsourceに対応しています。
rekordboxも高度なミックス・エフェクト機能などを利用するには、¥8,000/年、¥1,000/月、¥500/週の3パターンのプランが用意された有料プランへの加入が必要になります。
▶︎ rekordboxアプリ(iPhone/iPad版)の基本的な使い方を解説
edjing Mix
edjing Mixは、高機能、充実したチュートリアルコンテンツでDJの基本からプロのようなミックスまで楽しみながら学べるDJアプリの一つです。
他のアプリ同様に、基本的な機能は無料で使えますが、高度なミックス・エフェクト機能を使用するには有料サブスクリプションへの加入が必要です。DJに使える音源はiPhone内の音源のほか、Beatport、Beatsourceに対応しています。
edjing Mixも優れたDJアプリであることは間違いないですが、先述の「djay」「rekordbox」の2つのアプリと比べると、価格や機能的にも優位性があまりなく、あえてedjing Mixを使用する理由はほとんど見つからないというのが正直な感想と言えるでしょう。
iPhoneでDJができるアプリは無料で使える?
先ほどご紹介したそれぞれのiPhone用DJアプリは全て無料でインストールすることが可能で、基本的な機能は無料で使用することができるため、DJプレイの基本的な操作やお試しで使用することは気軽にできるようになっています。
ミックスの録音や、高度なミックス機能、エフェクト機能などは有料サブスクリプション契約が必要になるため、まずはアプリを無料ダウンロードして操作感を試した後に、よりiPhoneでのDJプレイを極めていきたい場合に課金をするのが良いでしょう。
iPhoneだけでDJを行うデメリット
上記で紹介したDJアプリをインストールすればiPhoneのみでDJを行うことが可能ですが、iPhoneだけではコントロールできる範囲に限界があるのも事実です。
デメリット1:操作がしにくい
DJプレイにはEQやボリューム、BPMの調整など複数のコントロールセクションを同時に操作するような繊細な操作が求められます。いくらiPhoneが大型化しているとは言え、そうした細かい操作をiPhoneの画面だけで行うのはほぼ不可能と言え、それぞれのアプリもオートシンクのような機能を使ってほぼ自動でDJミックスを行うことが前提となっています。
自動で調整してくれるのは便利ですが、ある程度技術を持ったDJやDJの上達を目指すビギナーにはコントロールできるところが少なすぎて物足りない印象を受けるでしょう。
デメリット2:機能が制限される
各社のiPhone用DJアプリは基本的な機能は無料で利用できますが、高度なミックス機能やエフェクト機能、ヘッドホンでのモニター機能など多くの機能が有料プランのみで利用できるロックがかかっています。
有料機能をタップする度にいちいちアップグレード画面が表示されるため、無料プランのまま使いたい人にとってはかなりストレスになるでしょう。
こうした理由で、実際のところiPhoneのみでできるのはお試し程度で、本格的なDJプレイにはiPhone用DJアプリに対応したコントローラーが必要です。
iPhone用DJアプリと一緒に使えるDJコントローラー
DDJ-FLX4 | Pioneer DJ
DDJ-FLX4の主な特徴
✅ djay、rekordboxに対応
✅ USBケーブルでの有線接続に加えてBluetoothでワイヤレス接続も可能
✅ 初心者から上級者まで違和感なくDJプレイを行えるプロフェッショナル仕様のレイアウト
✅ USBバスパワー駆動
✅ オーディオインターフェース内蔵
✅ フェーダーを操作するだけで音量・低音域・BPMが自動的に最適化されるSMART FADER機能
✅ 複数のエフェクトを組み合わせたダイナミックなサウンドを加えることが出来るSMART CFX機能
Buddy | Reloop
Reloop Buddyの主な特徴
✅ djay専用2チャンネルDJコントローラー
✅ 接続するだけで有料のdjay PRO AIの機能が使える
✅ iPhoneやiPadを設置できるドッキングステーション搭載
✅ 大型のFXパドルで瞬時にエフェクトミックスが可能
✅ USBバスパワー駆動
✅ オーディオインターフェース内蔵
DDJ-200 | Pioneer DJ
DDJ-200の主な特徴
✅ djay、rekordbox、edjing Mix対応
✅ 定価¥22,000というPioneer DJ製コントローラーでは最もリーズナブルなモデル
✅ マスター音声とモニター音声に分離して出力することができるスプリットケーブルが標準付属
✅ USBケーブルでの有線接続に加えてBluetoothでワイヤレス接続も可能
✅ USBバスパワー駆動
外部スピーカーへの出力には変換アダプタが必要な場合あり
iPhoneのみで使う場合、イヤホンジャックがあれば外部スピーカーに有線接続できますが、イヤホンジャックがないモデルを使う場合は、下記のような変換アダプタが必要な場合があります。
DDJ-FLX4とiPhoneをBluetooth接続で利用する場合も、コントローラーからサウンド出力ができないためiPhoneからスピーカーに接続が必要になります。
まとめ
ポケットのスマホ1台でDJができる利便性は大きいものの、本格的なDJプレイをしようと思うと対応のDJコントローラーは必須と言えます。
時と場合に応じて使い分けができるように、iPhoneでのDJプレイもマスターしておくといいかもしれませんね。