デジタル音源ファイルでDJプレイを行うことが一般的になった現代では、楽曲データの管理はDJにとってコアな仕事の1つとなっています。
大きくて重いレコードやCDを持ち運ばなくてもUSBメモリやメディアドライブ、ラップトップPCに数千、数万の音源データを入れて持ち運べることで、ほぼ物理的な制約なしに無数の音楽をDJプレイで使えるようになったのはデジタルの恩恵でしょう。
その一方、データというのはある日突然消えてしまったりハードウェアの故障でデータにアクセス出来なくなるというようなリスクが潜んでおり、一生懸命貯めた音源ライブラリが水の泡になってしまったり、そもそも音源データがなくてDJが出来ないという状況に陥ってしまう可能性があります。
そのような事態を避けるために必ず行っておきたいのがデータのバックアップ。
今回はDJであれば必須ともいえるこのデータバックアップの方法についてご紹介したいと思います。
3つのバックアップ方法
音源データのバックアップ方法(バックアップ先)は複数ありますが、今回は3パターンのバックアップ方法をご紹介したいと思います。
1. クラウドサービス
まずは、DropboxやiCloud、Googleドライブといったクラウドストレージサービスです。
インターネットに接続しアカウントにアクセスすればどんな端末からもデータをアップロード/ダウンロードできるため利便性に優れ、クラウドサービスのため故障や紛失のリスクがほぼありません。
ただ容量が増えれば増えるほど利用料が高くなるため、バックアップする音源データが多い場合は後述の物理ドライブでのバックアップの方がいいでしょう。
デメリットとしては、容量制限がある点、利用を続ける限り半永久的に定額利用料がかかる点、などが挙げられます。
2. 外付けポータブルSSD/HDD
最も簡単に直感的にバックアップを行いたい場合は外付けドライブを使用するのがおすすめです。
基本的な使い方は、バックアップしたいデータが入ったPCとバックアップ先の外付けドライブをUSBケーブルで接続し、バックアップしたいデータ(もしくはフォルダごと)をコピー&ペーストするだけ。
小型で携帯性に優れ現場にも持って行きやすく、DJ機材によっては直接接続してハードディスク内の音源データをプレイできるため、万が一DJで使うPCが故障した、といった状況が起きても対応が出来ます。
初期費用がある程度かかりますが、1TBの容量のモデルでも数千円〜で入手出来ますので、こういったデジタル機器は3~4年ほどを寿命だと仮定してもクラウドサービスを契約し続ける費用に比べれば安価に収まるでしょう。
デメリットとしては物理デバイスのため、故障・紛失・盗難等のリスクがあるということが挙げられます。
3. NAS
NAS(ナス)はNetwork Attached Storageの略で、前述の外付けドライブと同じく外部ストレージではありますが、外付けポータブルSSD/HDDがUSBケーブルでパソコンと接続するのに対して、NASはネットワーク経由で接続するという特徴があります。
ネットワーク上にハードディスクを設置することで、同じネット回線に接続された複数のパソコンやスマートフォンからアクセスでき、ファイル共有が容易に行えるといったメリットがあるほか、拡張性にも優れデータの増加とともに容量を拡張していけるといった特徴もあります。
また、RAID方式という複数のディスクに同じデータを保存する仕組みを活用すれば、万が一NAS内のHDDやSSDが故障した場合もデータの復旧やアクセスが可能になるため、バックアップ先として適した特徴を持つのがこのNASです。
デメリットとしては、導入・運用にある程度の知識が必要という点、外付けポータブルドライブと同じく物理的な故障リスクがある点が挙げられます。
確実にバックアップをするためのTIPS
バックアップデータに迅速にアクセスできる方法を取る
バックアップというのは万が一メインの音源データ保存元に何かあった場合に元に戻すためのものであり、「データが消失した」などといった場合にすぐにバックアップから取り出したいデータを取り出せる状態にしておくことが大切になります。
自分が仕組みや使い方を完全に理解していない方法でバックアップをとって、いざ復活や移行をさせる時に、「必要なデータが見つからない」といったことにならないように、「何を」「どこに」「どうやって」バックアップをとるのかをきちんと理解しておくことが重要です。
バックアップを習慣化する
日々音源データの収集を行うDJはどんどんデータが溜まっていくと思いますが、音源ファイルの増えるペースによって、週一回、月一回など、出来るだけ決まったスケジュールでバックアップをルーティン化することをおすすめします。
ルーティン化することで、前回のバックアップからの差分が明確になり、未バックアップのデータが簡単に抽出できるためバックアップを効率的に行うことができます。
まとめ
DJにとって商売道具であり資産である音源データ。
そんな大切なデータを失うことのないよう、バックアップを確実に、定期的にやり続けるために、自分にとって最も楽で効率的にバックアップが行えるワークフローを構築してください。