良いスピーカーから出力される高品質なサウンドは、パソコンのスピーカーやDJ機材のビルトインスピーカーでは味わえない音楽体験をもたらしてくれます。音楽の新たな魅力の発見や空間の創造をもたらしてくれ、一歩先のDJプレイを可能にしてくれる1つのツールになり得るでしょう。
音楽を扱うDJにとって、実際に音を出力する最終地点でもあるスピーカーは、クオリティの高いパフォーマンスをする上で最も重要な機材とも言えるかもしれません。
今回は、DJ用にスピーカーを導入する際にチェックするべきポイントとおすすめのモデルをピックアップしてみました。
DJ用のスピーカーを選ぶ際にチェックしたいポイント
- 再生周波数帯域:再生周波数帯域(周波数特性)は、スピーカーが再生できる音の周波数範囲を指します。人間の聴覚は一般的に20Hzから20,000Hzの周波数範囲を感知できると言われています。低音、中音、高音をEQなどでコントロールするDJにとって各周波数の音を正確にモニターすることは非常に重要であり、再生可能な周波数帯域が広ければ、その分音楽の再現性が高まり、音を聞き漏らすことなく正確なミックスやエフェクトやサウンドの表現力に貢献してくれるでしょう。
- 出力パワー:出力パワーは、スピーカーが音を発する際の電力の量を表し、一般的にワット(W)で表されます。出力パワーが大きいほど、より大きな音量や高い音圧で音を再生することができ、高音量でも歪みの少ないクリアな音を出力することが出来ます。特に大規模なイベントや広いスペースでの使用時には、出力パワーが大きいスピーカーが必要となります。
- 接続方法:DJ用途で使用するスピーカーは基本的に有線接続のものになります。Bluetoothなどを利用するワイヤレススピーカーは多少なりとも遅延が発生するため、DJ機材の操作に対するリニアな反応やミックスの一瞬のタイミングが重要なDJ用途ではあまり適しているとは言えないでしょう。スピーカーには様々な接続オプション(XLR, TRS, RCAなど)があり、複数の入力端子を備えたスピーカーを選べば、さまざまな機器との接続が容易になります。
- サイズ・重量:基本的にスピーカーのサイズは再生能力に比例して大きくなり、大型のスピーカーはより大きな振動板や駆動ユニットを備え、特に低音や低中音の再生においてより豊かな音響体験を提供する傾向があります。設置するスペースの広さに対して適切な再生能力のスピーカーをチョイスすることが重要です。
- 携帯性:サイズ・重量に比例して変わるのが持ち運びのしやすさです。常設用スピーカーであればそこまで機にする必要はありませんが、様々な場所に持ち運んで使用する場合はポータビリティも重要な要素です。小型で再生能力に優れたスピーカーがあれば、出張DJの際などのパフォーマンスをクオリティを高めてくれるでしょう。
- 追加機能:スピーカーの種類によっては、エフェクトやイコライザーなどの追加機能が組み込まれたモデルもあります。正確なサウンドチューニングができるスピーカーを選ぶことで、より理想的なサウンドデザインができ、完璧な空間演出に貢献してくれるでしょう。
- デザイン:スピーカーは物理的なサイズ的にも音が実際に出る場所であることからも、非常に目立つ機材です。かっこいいDJ機材と一緒に使うのにふさわしい、自分の好みにあったデザインのものを選びましょう。
DJ用スピーカーのおすすめモデル5選
IK Multimedia iLoud Micro Monitor
再生周波数帯域 | (-3dB):55Hz~20kHz (-10dB):45Hz~22kHz |
出力パワー | 70W(ピーク)/50W(RMS) |
接続端子 | RCA入力 × 2(ケーブル付属) TRSミニステレオ入力 4ピンスピーカーコネクター(ケーブル2m付属) Bluetooth |
サイズ | 180mm × 135mm × 90mm(1個) |
重量 | 重量:920g(左スピーカー単体)、800g(右スピーカー単体)1,720g(左右合計) |
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KRK RP5 G4
再生周波数帯域 | 43Hz – 40kHz |
出力パワー | 55W |
接続端子 | バランスTRS/XLRコンボ入力 |
サイズ | 285mm × 190mm × 241mm(1個) |
重量 | 重量:4.85kg(1本) |
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ADAM Audio T7V
再生周波数帯域 | 39Hz – 25kHz |
出力パワー | LF50W/HF20W(RMS) |
接続端子 | XLR, RCA |
サイズ | 347mm x 210mm x 293mm(1個) |
重量 | 7.1kg(1本) |
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YAMAHA HS5
再生周波数帯域 | 54Hz – 30kHz |
出力パワー | LF45W/HF25W |
接続端子 | XLR/PHONE(バランス) |
サイズ | 170mm x 285mm x 222mm(1個) |
重量 | 5.3kg(1本) |
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PreSonus Eris E3.5
再生周波数帯域 | 80Hz – 20kHz |
出力パワー | 25W |
接続端子 | 1/4″ TRS x 2 RCA x 2 AUX入力:1/8″ステレオ |
サイズ | 141mm x 210mm x 162mm(1個) |
重量 | 2.9kg(ステレオ・セット) |
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まとめ
今回は複数の観点からDJにとって最適なスピーカーのモデルをご紹介しました。今回ご紹介したモデルは自宅など小さなスペースで使用するのに適したモデルで、大きなスペースでのイベント用途などに適したスピーカーは別記事にてご紹介いたします。
スピーカーの良し悪しを判断する性能基準は様々な要素があり、それぞれが複合的に作用し合って音のクオリティや音楽の表現力に影響を与えます。例えば、再生周波数帯域が広い=音質が良いスピーカー、とは判断できないように、一つの要素だけでスピーカーの品質を判断するのは難しいため、他の要素(出力パワー、歪み率、周波数レスポンスの一貫性など)も総合的に考慮することが重要です。
また、良い音かどうかを聞き分ける耳を持つには訓練が必要です。普段から良い音に触れ自分の耳を養っていくことも重要な要素となります。
出来ることなら、お店など実際にスピーカーの音を聴ける場所に足を運んで、複数のスピーカーのサウンドを体感してから選ぶことができればベストですね。