インターネットとスマートフォンの普及とともに、音楽の楽しみ方はレコードやCDなどの物理メディア、ダウンロード音源から、ストリーミング音源が主流になっています。
DJの使う音源も例外ではなく、まだプロの現場で使われるシーンは少ないですが、ストリーミング音源でDJを行なうという流れは徐々に大きくなりつつあります。
今回は世界で最も人気のあるDJソフトの一つである「Serato DJ」で使えるストリーミングサービスをご紹介します。
Serato DJで利用できるストリーミングサービスは4つ
現時点でSerato DJからアクセスできるストリーミングサービスは、「Beatsource」「Beatport Streaming」「SoundCloud Go+」「TIDAL」の4つです。
Beatport Streaming
世界最大のダンスミュージック専門の音楽ダウンロードストア「Beatport」が運営する定額制の音楽ストリーミングサービスが「Beatport Streaming」です。
Essential/Advanced/Professionalの3つのプランが用意されており、Advanced/Professionalプランの契約でDJソフト(Serato含む)から直接ライブラリにアクセスできます。
価格はAdvancedが月額$14.99、Professionalが月額$29.99で、音質はAdvancedが128kbps AAC、Professionalが256kbps AACです。Professionalでは最大1000曲のオフライン再生も可能です。
Beatsource
同じく「Beatport」と、DJ向け大手レコードプール「DJ City」が共同で設立したDJ用音楽ストリーミングサービスが「Beatsource」です。
Beatport Streamingと同じアカウントを共用でき、機能や使い方もほとんど同じですが、Beatport Streamingではハウスやテクノなどいわゆる4つ打ち系のダンスミュージックが充実しているのに対して、BeatsourceはHiphopやメインストリーム系の楽曲が中心となっているという違いがあります。
BeatsourceとBeatsource Pro+という2種類のプランが用意されており、価格はBeatsourceが月額$9.99、Beatsource Pro+が月額$34.99で、音質はBeatsourceが128kbps AAC、Beatsource Pro+が256kbps AACです。Pro+では最大1000曲のオフライン再生も可能で、また、楽曲のインスト/アカペラやイントロ/アウトロが追加されたバージョン、禁止用語がミュートされたクリーンバージョンなど、DJプレイに使いやすいように特別にエディットされたDJエディットが利用できるのもPro+のみになります。
SoundCloud Go+(日本利用不可)
プロからアマチュアのインディー楽曲まで世界中のクリエイターの音楽投稿プラットフォームであるSoundCloudに投稿された音源をストリーミングすることができるのが「SoundCloud Go+」です。
残念ながら現時点では日本ではサービス提供が開始されておらず、国内で使用することはできません。
TIDAL(日本利用不可)
320Kbpsまたは256KbpsのロスレスFLAC形式/AAC形式の高音質でストリーミング配信されるという特徴を持つサービスが「TIDAL」です。
TIDALもSoundCloud Go+と同じく現時点では日本ではサービス提供が開始されておらず、国内で使用することはできません。
Serato DJでメジャー系ストリーミングサービスは利用できない
世界で最も利用者の多い音楽ストリーミングサービスである、「Spotify」「Apple Music」「Amazon Music」などのメジャー系ストリーミングサービスは現時点でSerato DJでは利用できません。
ストリーミング含め音楽ビジネスにはライセンスの問題が常に付きまとい、通常のストリーミングサービスは一般ユーザーの個人利用が想定されているため、DJで不特定多数のオーディエンスに対して音楽をかける用途は、権利関係をクリアすることが難しいことが予想されます。
ただ、Spotifyは過去にdjayという別のDJアプリで使用できていたという実績があり、2024年2月1日から新たにApple Musicがdjayに対応しました。今後メジャー系音楽ストリーミングサービスがSerato DJなどのDJソフトで利用できるようになる可能性も否定できません。
ストリーミング音源を使用する場合はSerato DJ内でDJミックスの録音ができない
ストリーミングサービスの音源でDJをする場合にひとつ落とし穴としてあるのが、ストリーミング音源でDJをしている間はセットを録音することができないという点です。
冷静に考えれば、DJソフトで録音が出来てしまうと、ストリーミング音源を1曲1曲再生して録音すれば音源データが作れてしまうため当然と言えば当然の制限ですね。
まとめ
音楽を所有せずとも数万曲以上の音源にアクセスできるストリーミングサービスは今後DJの世界でも使用率が大きくなっていくと予想されます。
現在Serato DJではDJ用途としてダンスミュージック系に特化したストリーミングサービスが利用できますが、ユーザーのニーズに合わせて他のメジャー系ストリーミングサービスも利用できるようになれば、選択肢が広がり、さらにDJを始める人の増加も期待できそうですね。